あいつの隣にいる方法

「ハナ、見て!!次、佐々木君くるよ」

スタート地点の方に目を向けると、もうスタンバイに入っているあいつの姿を見つける。

合図と同時に走り出した。

どんどん加速してあっという間に自分の前を通り過ぎていく。

あいつは2位で終わった。

走る姿がいつかのあいつの姿に重なった気がした。

「いつまで見てるの?私たちも移動するよ。」

その言葉にハッとする。もう最終組まで走り終わっていた。

みっちゃんを見ると、数歩離れたところから声を掛けていた。

「ごめん、今行く。」

駆け寄り、もう一度、ごめん、という。

「暑くて疲れた?大丈夫?」

「大丈夫、元気だよ。」

「もしかして、最後に走った佐々木君に見とれてたとか?」

「…違うよ。」

図星をついた指摘に反応が遅れる。
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