あいつの隣にいる方法
疲れているのに電車に揺られると尚更体力を消耗される気がする。
なにも考えずボーとつったっていた。

「そろそろ座るか。」

ハッとして周りを見ると乗客もまばらになっていた。

あいつとならんで腰かける。

あいつはスマホをいじり始めたので、私も本を読み始めた。

それも数分だったのだろうか。

「おい、起きろ。」

目を開けると降りる1つ前の駅を出るところだった。

私、寝てたんだ。

「これ。落としてたぞ。」

あいつの手には、私が読んでいたはずの本が持たれていた。

ありがとう、とカバンにしまう。

しまう。

「あと、よだれ垂らして寝るなよ。」

立ち上がりながら耳を疑う発言をしてきた。

うそでしょ!? いくら何でも恥ずかしすぎる。

とっさに口の周りに手を当てる。

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