あいつの隣にいる方法
「行ってきな!素直になるんだよ。」

背中を押してくれた。

思わず走ってきたど、駐輪場が近づいて速度を緩める。

そしてあいつの姿を探すように歩き始めた。

いた、と思ったのと同時だった。

「ハナ」

私の名前を呼んで手を振っているあいつ。

久しぶりに私にかけられた声に頬が緩む。

それも束の間、私はなぜこの状況に呼ばれたのだろうと思った。

あいつの隣にはいつも見る女の子がいたのだ。

私の顔はひきつっているのだろう。

女の子の方はあからさまに嫌な顔を私に向けているが。

「俺の約束の相手ってこいつだから。」

そして私の方に向き直ると、早く準備しろ、という。

急いで自分の自転車を探し、荷物をかごに放り込んだ。
< 52 / 100 >

この作品をシェア

pagetop