黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
「せっかく気合をいれておしゃれしていったのに、ぜんぜんいい男がいなかったわ。知ってる顔ばっかりで、恋の予感もなかった」
「まぁ、同窓会だからね」

 恵のあからさまにがっかりした表情に苦笑する。

「それに、肝心の呉林くんもいなかったんだよねぇ」
「あ、そうなんだ」

 相槌をうちながら思い出す。

 そういえば同窓会の当日、呉林くんと会ったっけ。

 彼は大学内でも人気者で友人も多かったから、同窓会に出席しなかったのは意外だなと思う。

「呉林くん、急遽仕事が入ってこれなくなったらしいの。女の子たち、みんながっかりしてた」
「仕事……?」

 恵の言葉に不思議に思う。
 
 彼はあのときクラブにいて、仕事をしているようには思えなかった。
 仕事が終わってからクラブに来たのかもしれないけど……。

 考えていると、恵が「あ」と声をあげた。

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