黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 私たちのやりとりを見ていた恵が、興味津々の様子で身を乗り出してくる。

「あ、そうなの。職場の先輩の伊尾さん」
「へぇ、先輩……」

 慌てて彼を紹介すると、恵はにやにやしながらなにか言いたげな視線を私に送る。

 きっとするどい彼女は今のやり取りだけで、私の片想いの相手が彼だと察したんだろう。

「はじめまして、伊尾さん。美緒の大学時代からの友達の、鈴木恵です」

 恵が自分の名前を名乗ると、伊尾さんは整った顔に穏やかな笑みを浮かべ「はじめまして」とあいさつを返す。

 今日は休日だからか、伊尾さんの表情や雰囲気がいつもより少し柔らかい気がした。

 あらためて彼のかっこよさに見惚れてしまう。

「美緒は不器用で融通がきかないところがあるんですけど、職場でうまくやってます?」

 まるで保護者のような発言をする恵に、「余計なことを言わなくていいから!」と私は顔をしかめる。

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