黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 好きな先輩が女性と一緒にいるところを見て泣いていた。
 なんて、情けなくて言えるわけがない。
 
 私がなんとか誤魔化そうと言い訳を探していると、呉林くんが私の歩いてきた方向に視線を向けた。

「そこで佐原さんの彼氏が、ほかの女の人と一緒にいるのを見たけど、そのせいで泣いているの?」
「えっ!」

 呉林くんに図星を指され、私は驚いて跳び上がる。
 
 伊尾さんがあの女性といるのを、彼も見ていたんだ。

「もし浮気されたんなら、逃げないでその場でしっかり話し合った方がいいよ。俺がちゃんと話してあげるから……」

 そう言って、呉林くんは伊尾さんがいる方へ引き返そうとする。
 私は彼の腕を慌てて掴んだ。

「う、浮気なんかじゃないから、大丈夫!」
「大丈夫じゃないでしょう。泣いているくせに、強がらなくていいよ」

 私の話を聞かず、伊尾さんのもとへ行こうとする呉林くん。
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