黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
「最近、僕の経営しているクラブやバーを、マトリが嗅ぎまわっているから、迷惑していたんだよね」

 その言葉を聞いて、脳内に危険信号が走った。
 
 私は掴んでいた呉林くんの腕から手を放し、自然に距離を取る。
 
 きっと呉林くんは、私を麻薬取締官じゃないかと疑ってる。
 とういことは……。
 
 私はごくりとのどを上下させた。
 
 彼はクスリを売りさばく売人。
 いや、もしかしたらその売人たちにクスリを供給している大元かもしれない。

「へぇ、呉林くんお店の経営をしてるんだ。すごいね」
 
 マトリという言葉は聞こえなかったふりをして、明るい声で言う。
 緊張で、手のひらに汗が浮かんだ。

「すごくないよ。店の経営だけじゃ、そんなに大きな利益にはならないから」

 経営だけじゃ、とわざわざ言うからには、ほかに収入源があるんだろう。
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