黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 呉林くんは、会話の中にほのめかす言葉を交ぜて、私の反応を見ている。

「佐原さんは、公務員だったよね? どんな仕事をしているの?」

 なんとか誤魔化せ。
 この場を切り抜けられれば、先輩たちに連絡をして彼の店や自宅の捜査ができる。
 
 そう思い、私は冷や汗をかきながら、世間話を続ける。

「私は普通に一般職だから、デスクワークばっかりだよ」
「へぇ、一般職かぁ……」

 呉林くんは納得したようにうなずく。
 
 どうにか信じてくれたのだろうか。
 私がほっと息を吐きだしたとき、彼の腕がのびてきて、乱暴に私の服の襟元を掴んだ。

「……っ!」

 そのまま服を掴み上げられ、つま先立ちになった。

 喉元が締まって息ができない。
 私は苦しさに顔をゆがめる。

 そんな私を見て、呉林くんは楽し気に笑った。

「正義の味方のマトリ様が、そうやって嘘をつくのはいけないよね?」

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