黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 自慢げに胸を張る健太に、自然と口元がほころんだ。

「じゃあ、来年には小学生だな。ランドセル、俺が買ってやろうか?」
「やったーっ!」

 俺の言葉に、健太は両手を上げてよろこぶ。

 俺たちのやりとりを見ていた梨花さんが苦笑しながら首を横に振った。

「いいわよ、伊尾くん。そんな気を遣わなくて」
「気を遣っているわけじゃなくて、自分がしたいだけですよ」

 そんな話をしていると、俺に抱き上げられた健太がどこかをじっと見ているのに気付いた。

「どうした?」

 不思議に思い健太に声をかける。

「こっちをみてるおねえさんがいるよ」

 健太の視線の先を見ると、少し離れたところに佐原がいた。

 俺の視線に気付いてあわてて顔を伏せる。

 さっきカフェで会ってから、俺を追いかけてきたんだろうか。

 俺に気付かれないように、うつむいて誤魔化そうとしているがバレバレだ。
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