黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 そして先輩の伊尾洋平さんは、薬物犯罪の捜査を行う厚生労働省の職員、麻薬取締官だ。
 
 麻薬及び向精神薬取締法により特別司法警察署員としての権限が与えられ、潜入捜査やおとり捜査が認められている。
 
 木島という男がこのクラブで覚せい剤を売りさばいているという情報を得て、現場に踏み込んだのだ。
 
 
 
 私たちからの連絡を受け、外で張っていた仲間の取締官たちも駆けつける。
 
 
 男たちは売買の現場を押さえられたというのに、「これは合法のサプリメントだ」と言い張って認めようとしなかった。

「では、これからあなたたちの所持していたこの結晶を検査します」
 
 私はそう言いながら、男たちの前でポリ袋の中に入った白い結晶を少量取り出し、試薬の入った試験管の中に入れる。
 
 ふたをしめて振ると、無色の試薬が反応し瞬時に青藍色へと変化した。

< 13 / 219 >

この作品をシェア

pagetop