黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 だから、あえて彼女に厳しく接した。俺に憧れているという彼女が、俺に愛想をつかして辞めるのならそれでいいと思ったからだ。
 
 けれど彼女はくじけることなく、どんなにつらい仕事にも真摯に向き合ってきた。
 
 必死に俺のうしろについて、すべてを学ぼうとする姿はかわいくてしかたなかった。
 
 一緒にいるうちに、どんどん彼女に惹かれている自分に気付く。
 俺は、恋愛するつもりも、結婚するつもりもなかったはずなのに……。
 

 先週クラブで佐原を腕の中に抱きしめたときを思い出す。

 友人に選んでもらったというピンク色のワンピースを着た佐原は、とてもかわいらしかった。

 俺は華奢な二の腕や鎖骨から目が離せなくなった。
 しかも後ろ側が大きく開いていて、綺麗な背中と肩甲骨がちらりと見えた。
 
 思わず手を伸ばして触れたくなる。
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