黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 男の欲情を煽るようなデザインの服を、無防備な佐原がなんの自覚もなく着ていた。
 
 他の男の目に触れないように、連れ去って閉じ込めてしまいたい。
 
 捜査中だというのに、そんな嫉妬と独占欲が込み上げてきた。
 
 そんなとき、ソファに座るカップルがいちゃいちゃしはじめた。
 目をそらしても、喘ぎ声や傷ずれの音は聞こえてくる。
 
 佐原はそういう行為に全く慣れていないのか、顔を真っ赤にして凍り付いていた。
 
 純粋で無垢な彼女に、あんな声を聞かせたくない。
 そう思い、たまらず抱き寄せた。
 
 最初は俺の腕の中でがちがちに緊張していた佐原が、おそるおそる俺の背中に手をまわししがみついてきた。
 
 そのかわいらしい仕草に、ぐっと胸に愛おしさがこみあげる。
 思わず佐原を見下ろすと、彼女も俺を見上げた。
 
 その佐原の表情を見た途端、俺は息を飲んだ。
 
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