黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 首をひねり自分の腕に注射痕がないか確認していると、がちゃりと音がして扉の鍵が開いた。
 
 私は慌てて身構える。
 
 そこに立っていたのは、呉林くんだった。

「さすが麻薬取締官だね。拉致されて監禁されたっていうのに、叫びも取り乱しもせず、どうやって逃げ出そうか必死に考えてるんだ?」

 警戒する私を見て、呉林くんは楽し気に笑う。

「呉林くん、私を監禁してどうするつもり?」

 私は緊張で上ずりそうになるの声を必死にこらえ、冷静に問う。

「きみたちマトリが僕の商売の邪魔をするから、お詫びをしてもらおうと思って」
「商売って……。呉林くんがクスリを売人に流していたの?」
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