黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
「そうだよ。店の経営だけじゃ儲けは少ないからね。その点クスリは楽だよ。頭の悪いチンピラをそそのかしてクスリを流すだけで大金が入ってくる。元々は二、三千円の覚せい剤が、末端価格じゃ三万近くになるんだ。真面目に働いているのがバカバカしくなるだろう?」

 そのお金の裏で、どれくらいの人が苦しむかなんて、彼はどうでもいいようだ。

 私はぐっと唇を噛む。

「そのクスリを仕入れる方法は、香港からの船との洋上取り引き?」

 注意深くたずねると、呉林くんは「へぇ」と意外そうに眉を上げた。

「目を覚ましてからの行動といい、僕とのやり取りといい、君は意外と優秀なんだね。気に入ったよ」
「あなたに気に入られても、うれしくない」

 私がそう言うと、呉林くんは笑い声を上げながらこちらを見る。

「僕のバックには香港マフィアがついてる。下手に逆らうよりも、素直に協力したほうがいいよ」
「協力?」
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