黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 伊尾さんは呉林くんに近づくと、彼が手放し床に落ちた銃を拾い上げた。
 倒れた彼を見下ろし「残念だったな」と静かに言う。

 呉林くんが「くそっ!」と悔し気に床を叩く。
 そして、彼の手には手錠がかけられた。

 私は息を吐きだし、ゆっくりと構えていた銃を下ろす。
 手のひらは汗ばみ、細かく震えていた。

 終わったんだ……。
 そう思い、緊張がほどけ安堵が込み上げる。

 そのとき、ドタバタと幾人もの足音が近づいてきた。
 
 大きく扉が開かれはっとして身構えると、そこにいたのは東海林さんや藍川さんをはじめとする先輩たちだ。

「美緒ちゃんはいたっ!?」

 血相を変えた東海林さんに、伊尾さんがうなずく。

「はい。佐原は無事ですよ。犯人も確保しました」

 伊尾さんの言葉に、部屋に入ってきた先輩たちが呉林くんやうずくまる男たちの腕を取り連行する。

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