黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
「よかったわ~! 美緒ちゃん、怖かったでしょう~っ?」

 東海林さんは両手を広げ私に駆け寄ってきた。

 いつものようにぎゅっと抱き寄しめられるんだと思っていると、その前に長い腕がのびてきた。

「すみませんが、こいつを抱きしめるのは、俺の役目なんで」

 伊尾さんはそう言いながら、目を丸くする私を独占するように胸の中に閉じ込める。
 背中に回った手や密着したたくましい体に、心拍数が急激に上がる。

「ひぇ……っ!」

 伊尾さんに抱きしめられている! 驚きと緊張のあまり、変な声が出た。

「あらあらあらあら! もしかしてあなたたち、うまくくっついたの?」

 その様子を見た東海林さんが、両手ぐーにして口元に当て乙女のようなポーズをとりながら、目を輝かせる。

 藍川さんやほかの先輩たちも、私たちの様子を見てにやにやとした笑みを浮かべた。

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