黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
「ようやく伊尾が、美緒ちゃんを好きだって認めたか」
「長かったよなぁ。くっつくまで何年かかったっけ?」
「初登庁の日に佐原が公開告白してからだから、もう二年か」

 なにそのみんなの反応は!

 こうなることを予想していたようなみんなの口ぶりに、私は目をむく。

「俺はもう少しこじらせて遠回りするかと思ってたんだけどなぁ」
「二年で伊尾がほだされてくっつくにかけてた奴いたっけ?」
「どうだったかな。あとで調べてみないと」

 いつの間にか私の恋愛事情が賭けの対象になっていたらしい。
 あとでしっかり文句を言わないと。

 まわりがそんなやりとりをしている間も、伊尾さんは私を抱きしめ続けていた。

「ちょ、ちょっと伊尾さん……っ。そろそろ放してください……!」

 みんなが見ている前で抱きしめられ、恥ずかしさも限界だ。
 
< 173 / 219 >

この作品をシェア

pagetop