黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 私の背中が壁にぶつかると同時に、伊尾さんの背後でばたんと音をたてて扉が閉まった。

 狭くて薄暗い空間にふたりきり。
 獰猛な獣と密室に閉じ込められたかのような緊張感。

 伊尾さんは私の髪に指をさしこみ後頭部を包む。
 そして、私の頭をすくいあげるように上を向かせた。
 
 長身の伊尾さんが、わずかに眉をひそめてこちらを見下ろす。
 その表情が魅力的すぎて、胸がうずく。
 
 伊尾さんが、体をかがめ私に唇をよせた。
 

 ……食べられる。
 
 本能的にそう思う。
 わずかな恐怖と、それを上回る愛おしさに体が熱くなる。

 そして噛みつくように唇が重なった。

 生まれて初めてのキスは、めまいがするくらい、いやらしくてはげしいキスだった。

 舌先で唇をこじ開けられ、強引に口内を暴かれる。

「ん……っ」
 
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