黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 頬を熱くしながら否定したけれど、「美緒ちゃんが伊尾にほれてるのは、みんな知ってるんだから、誤魔化さなくていいわよ」と東海林さんにウインクをされてしまった。
 
 
 そんな話をしている私たちのところに、同期の志道くんがやってきた。
 
 彼は外国育ちで、雰囲気や外見もどこか日本人離れしていた。
 私と同い年なのに色気と迫力がある。

「佐原」と名前を呼ばれ首をかしげると、彼は私にハンカチを差し出した。

「ええと……?」

 戸惑いながら、ハンカチを受け取る。
 ひんやりと冷たい感触に驚いてハンカチの中を見ると、氷が包まれていた。
 
 きっと、殴られた頬を冷やすために、お店の人に氷をもらってくれたんだろう。

「志道くん、ありがとう」

 お礼を言った私に、志道くんは首を横に振って付け加える。

「いや。俺じゃなく伊尾さんが」
「伊尾さん?」
「佐原の頬が腫れないようにって」

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