黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
「こ、ここが伊尾さんの自宅ですか?」
 
 彼につれられてやってきたのは、綺麗なマンションだった。
 
 私はリビングのソファに座りながら、きょろきょろと部屋を見回す。

 てっきり伊尾さんも、私と同じように公務員宿舎に住んでいるのかなと思っていたのに……。
 
 街を見下ろせる高層階にある伊尾さんの部屋は、広いリビングがある2LDK。
 こんなところにひとりで住んでいるなんて贅沢すぎる。

「そうだけど」と平然とうなずく伊尾さんに、私は納得できずに食い下がる。

「公務員のお給料でこんなところに住めるとは、とても思えないんですけど」
「学生時代に株式投資で儲けたお金で、不動産をいくつか持っているから、給料のほかに家賃収入がある」

 さらりと言われ目を丸くすると、伊尾さんは私の隣に腰を下ろした。
 そして私の耳元でささやく。

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