黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
「この先、万が一のことがあっても生活には困らせないから、俺と結婚するか?」
「……っ!!」

 その言葉に、私は驚いてなにも言えなくなる。
 しばらく唇を噛んでから、大きく息を吐きだす。
 
 そして伊尾さんに向かい合った。

「万が一のことなんて縁起でもないから絶対考えたくないし、生活に困るかどうかなんてどうでもいいですけど、伊尾さんとは結婚したいですっ!」

 私がものすごい勢いで言うと、今度は伊尾さんが目を丸くした。
 そしてぷっと噴き出して、楽し気に肩を揺らす。

「まさか、こんなに真剣にうなずかれるとは思わなかった」
「もしかして冗談だったんですか? ひどい!」

 私がどれほど伊尾さんを好きなのか、わかっているくせに。

「まぁ、冗談のつもりだったんだけど……」

 伊尾さんはそう言いながら、ソファの背もたれに頬杖をつきこちらを見下ろす。

「お前がしたいなら、結婚するか」

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