黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 そう言われ、胸のあたりがきゅっと苦しくなった。


 わざわざ伊尾さんが、私のために氷を用意してくれたの?
 
 
 いつもは厳しい伊尾さんのさりげない優しさを感じて、涙がこみあげてきた。
 私はうるんだ瞳を誤魔化すように、あわててうつむく。
 

 ……伊尾さんはずるいです。
 
 こんなふうに気遣ってもらったら、ますます好きになっちゃうじゃないですか。



 心の中で文句を言いながら、冷たいハンカチをぎゅっと握りしめた。

 私、佐原美緒は、ずっとずっと四歳年上の伊尾さんに憧れ、片想いし続けてきた。




                                                                                       
  


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