黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
10 そして、それからの話を少し
10 そして、それからの話を少し
「佐原、もう昼だぞ。休憩しないのか?」
事務所で麻薬乱用防止を訴えるポスターを作っていると、伊尾さんに声をかけられた。
こういう広報資料を作るのも、麻薬取締官の大事な仕事のひとつだ。
「すみません、キリのいいところまでやってしまおうと思って……」
そう言いながらマウスを動かしていると、伊尾さんは近くにあった椅子を引っ張ってきて私の隣に腰を下ろした。
そして伊尾さんはキーボードに手を伸ばす。
ショートカットキーを使い、開いていたファイルを保存して閉じてしまった。
「あ!」
思わず私がつぶやくと、ぽんと頭を叩かれた。
「真面目なのもいいけど、休むときはちゃんと休め」
「……はい」
口をとがらせながらも素直にうなずいた私を見て、伊尾さんがくすりと笑った。