黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 そう思っていたけれど、伊尾さんは違った。
 
 綺麗な顔立ちとモデルのような引き締まった体躯。
 相談室に入ってきた伊尾さんの、その魅力的な外見に、私は驚き思わず息を飲んだ。

『ん?』と首をかしげられ、私は慌てて気を取り直し、友人が覚せい剤を使っていると事情を話す。


 そのときの私は、本当にこれでいいんだろうかと悩んでいた。
 
 覚せい剤は所持も使用も犯罪だとはいえ、私の行動は友人の静香への裏切りだ。
 
 正義感と友情の間で葛藤している私に、伊尾さんは淡々とした口調で言った。


『違法薬物は使用者の体や精神をむしばむだけでなく、依存性が高くひとりじゃ制御できなくなるのが一番の恐怖だ。君はその怖さを知っているから、友人を助けるために正義感を奮い立たせて情報提供してくれたんだろう? 誰にでもできることじゃない。心から感謝する』
 
 
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