黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
「顔、真っ赤になってるよ」

 男は私のおしりをまさぐりながら、耳元でささやいた。
 湿った吐息が耳たぶをかすめ、全身に鳥肌がたった。
 
 
 きっとこの男はいつもこうして女の子に声をかけ、べたべたと体に触っているんだろう。
 
 嫌悪感と一緒に怒りが込み上げてくる。
 
 触らないでください! 
 そう言って男の手をひねりあげようとしたとき……。

「こいつは俺のだから、馴れ馴れしく触るな」

 艶のある低い声が響き、後ろから長い腕が伸びてきた。
 
 男から私を取り戻すように、自分の腕の中に抱き寄せる。
 驚いて振り返ると、精悍な横顔が視界に映った。


「い、伊尾さん……っ」
 
 私を後ろから抱きしめたのは、四歳年上の先輩、伊尾洋平さんだ。
 
 
 すっと通った鼻筋と切れ長の目元が印象的な、端整な顔。
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