黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 私の言葉に、伊尾さんの声にさらに不機嫌さと凄みをます。

 もう、地面が震えるような超低音だ。

『で、でも、私はこの二年間、麻薬取締官になるために必死に努力してきました。今日からみなさんの力になれるように必死で頑張りますので、どうぞよろしくお願いします!』

 めげずに私が頭を下げると、横から太い腕がのびてきた。
 力任せにぎゅーっと抱きしめられ、息が止まりそうになる。
 
 
 驚いて顔を上げると、筋肉質で坊主頭の男の人が、思いきり目じりを下げて私を抱きしめていた。

『麻薬取締官はむさくるしい男ばっかりだから、こんなかわいい新人が入ってきてくれてうれしいわぁ! これからよろしくね、美緒ちゃん!』

 そう言って私に頬ずりする彼に、一斉にヤジが飛ぶ。

『一番むさくるしいのは、お前だろ東海林!』
『お前みたいな筋肉の塊に抱きしめられたら、新人がおびえてやめちまうだろ!』

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