黙って俺に守られてろ～クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない～

　数値を見ながらつぶやくと、藍川さんは「正解。よくできました」と笑い、私の頭をなでてくれた。

「香港といえば、横浜分室が香港から覚せい剤が密輸されているという情報を得て貨物船を捜査しているのに、なかなか現物を見つけられていないんですよ。もしかしたら、入港する前に洋上取り引きで国内に入って、市中に出回っているのかも……」
「分室の報告書まで読み込んでるなんて、さすが真面目な美緒ちゃんだね。……って、どうしたのその頬」

　こちらを見下ろし顔をしかめた藍川さんに、私はきょとんとしてから思い出す。
　
　そうだ、昨夜男に殴られたせいで、唇は少し腫れ、左の頬は青あざになっていたんだった。

「誰かにに殴られたの？」
「はい。昨日捜査中、売人の男に」

　私がうなずくと、藍川さんはこちらに手を伸ばし私の顎をすくいあげた。

「せっかくのかわいい顔が台無しだね」