黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 意志の強さと色気を併せ持つ黒い瞳が、店内を照らすライトを反射して光っていた。
 
 
 伊尾さんに、抱きしめられてる……っ!
 
 状況を理解して、頬が一気に熱くなる。
 
 それとは対照的に、伊尾さんは冷ややかな表情で茶髪の男を見下ろしていた。
 
 伊尾さんの身長は、私よりも二十センチ以上高い、百八十五センチ。
 
 そんな長身の伊尾さんに見据えられ、男はちっと舌打ちをしておとなしくその場を去る。
 
 伊尾さんは私を腕の中に抱いたまま、しばらく男の後ろ姿をにらんでいた。
 
 その相手を威嚇するよう険しい表情がかっこよすぎて心臓が跳ねる。
 
 この顔を毎日のように見ているのに、いちいちときめいてしまう自分が、なんだかくやしい。
 
そう思いながら端整な顔を見上げていると、伊尾さんはするどい視線をこちらに向けた。


「なにやってんだ、バカ」
「バ、バカって」

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