黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 普段、麻薬取締官は、暴力団やチンピラ集団などの反社会勢力を相手に捜査をしている。

 そんな人たちの中で疑われずに潜入できるよう、この事務所の先輩たちは、どちらかというとがらの悪い強面の男たちがそろっている。

 そんな先輩たちが、芸能人が出入りするような会員制のクラブに潜入したら、間違いなく浮く。
 お店の中に入る前に門前払いされそうだ。

 それに対して伊尾さんは、長身のすらっとした体型に整った顔。
 しかも男の色気まで漂わせている。
 
 彼ならセレブの集まるパーティーだろうが、モデル事務所だろうが、問題なく溶け込んでしまうだろう。
 
 そして、そんな彼がひとりで潜入して、必要以上に女性の注目を集めないように、私がセットでつけられる。
 
 ようするに、伊尾さんの恋人を装い、女性たちから声をかけられないための虫よけ係になれというわけだ。

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