黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 仕事だってわかっているし、伊尾さんの恋人を装うのははじめてじゃないけれど、やっぱり緊張する。

 そう思っていると、伊尾さんが冷静な表情でうなずいた。

「わかりました。今週の土曜ですね」

 伊尾さんの言葉を聞いて、私は思わず動きを止める。


 今週の土曜って……。

「あ、同窓会の日だ」

 私がつぶやくと、その場にいた全員の視線がこちらに集まった。

「同窓会?」

 伊尾さんの眉間に、わずかにしわがよった。
 私は慌てて首を横に振る。

「あ、いえ。大学の同窓会だったんですけど、断ります。大丈夫です」
「えぇー、せっかくの同窓会なのに行けないなんてかわいそうよ。同窓会っていったら、学生時代好きだった人に再会して、再び恋が燃え上がるチャンスイベントなのにっ!」

 東海林さんが大きな体をくねらせる。

「いやいやいや、燃え上がりませんから。普通の同窓会ですよ?」
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