黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~

「お前の言い分もわかるけど、潜入捜査中にさわぎを起こしてどうする」

 私は唇を噛み、「すみませんでした」と再び頭を下げた。

「まぁ、お前のその正義感とまっすぐさは、取締官に必要なものだけどな」

 壁にもたれた彼が、ふっと視線をゆるめた。そのちょっと意地悪な表情に、心臓が跳び跳ねた。

 いつも厳しい伊尾さんが私を認めてくれるなんて珍しい。
 
 うれしくなった私は、胸を熱くしながら「ありがとうございます!」とお礼を言う。
 
 すると伊尾さんはすぐにあきれた表情になり、こちらを見ながら肩を上げる。

「バーカ。ちょっと褒めたくらいで喜びすぎだ」
「だって、うれしくて……」

 そんな会話をしていると、不意に彼の視線がするどくなった。
 私の肩越しになにかを見ている。


 なにかあったんだろうか。
 
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