黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
「ひゃあああっ!」

 道路を行きかう車の小ささに、自分が今いる場所の高さを実感して思わず悲鳴を上げる。

 そのとき、たくましい腕が私の体を支えた。

「ひゃああって、お前。すごい叫び声だな」

 苦笑しながら私を抱き寄せたのは、伊尾さんだ。

「だ、だって……、こんな高いところから落ちるかもしれないと思ったら、怖いじゃないですか……っ」

 声を震わせながら言い訳をする。

「落ちねぇよ。転落防止の柵がある」
「で、でも、万が一ってことがありえます」

 必死に平静を装い言い返しながらも、まだ膝ががくがくと震えていた。
 鼓動も、ものすごく速くなってる。
 
 青ざめたままの私の顔を見て、伊尾さんはくしゃりと顔をゆがめ、ちょっと意地悪な表情を浮かべた。

「万が一のときでも、絶対にお前を守ってやるから、俺を信じろ」

 そう言い切る彼の頼もしさに、胸がきゅんと苦しくなる。

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