黙って俺に守られてろ～クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない～

　そう思っていると、周りで話を聞いていた先輩たちがにやにやしながら口を挟んできた。

「たしかに。あのピンクのワンピースを着た佐原はなかなか色っぽかったな」
「とくに背中がよかったよなぁ。ちらっと見える肩甲骨が綺麗で」
「もう！　そうやって、からかわないでください！」

　私が顔を赤くして声を上げると、先輩たちはゲラゲラと笑う。

「からかってねぇよ。普段色気なんてみじんもないのに、化けるもんだなぁって感心してるんだよ」
「佐原がいつもああいう格好で働いてくれたら、俺たちもやる気がでるんだけどな」

　好き勝手言われ、私は顔をしかめた。

「すみませんね、普段は色気がなくて！」
　
　一番下っぱの上に、数少ない女性取締官というのもあって、先輩たちからいつもこうやってからかわれている。
　
　くそう。
　そんなに言うなら、本当に明日からひらっひらの洋服で仕事をしてやる！