黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 なんて思いながら、私は肩をいからせる。
 すると、だれかがぽんと私の頭に手を置いた。
 
 見上げた視界に映ったのは、不機嫌そうな表情の伊尾さん。
 
 なんだろうと首をかしげると、伊尾さんは私の髪を少し乱暴にかきまぜた。
 
「い、痛いです」
 
 恥ずかしさを誤魔化すために、私は大袈裟に顔をしかめた。
 そんなかわいくない反応をする私を見下ろし、伊尾さんは小さく笑う。
 
 そして表情を変え、先輩たちの方を見た。

「そうやって、後輩をからかわないほうがいいですよ」

 伊尾さんの冷たい視線に、それまでゲラゲラ笑っていた先輩たちが慌てて口をつぐむ。

「そうよそうよ。デリカシーのない発言ばかりしていると、訴えられるわよ。今はセクハラとかパワハラとかうるさい時代なんだからね!」

 東海林さんもうなずいて同意すると、先輩たちはうらめしそうな表情を浮かべた。

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