黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
「佐原にかわいいかっこうをしろって言い出したのは東海林だろぉ」
「あたしはあなたたちと違って、美緒ちゃんのためを思ってアドバイスしたの。それに、そもそもあたしは性別を超越した、ジェンダーレスの天使だからいいのよ」
「どこが天使だよ。ゴリラみたいなぶっとい二の腕しやがって」
「なによ。そんなかわいくないことを言うと、あんたの頭をぺちゃんこにつぶしちゃうわよ!」

 彼らはにぎやかに口げんかをはじめた。

 自分から話題がそれて、私はほっと胸をなでおろす。

「あの。伊尾さん、ありがとうございます」

 私をかばってくれた伊尾さんに小さな声でお礼を言う。
 伊尾さんは、私の頭を少し乱暴になでた。

「佐原は、着飾ったり背伸びしたりする必要ないからな」
「え?」

 私が目をまたせると、伊尾さんはひとりごとのようにつぶやく。

「お前は、そのままでいい」

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