黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 むくれる私に藍川さんは手を伸ばし、「ごめんごめん」と頭をなでた。
 
 すると、少し離れた場所からするどい声が飛んできた。

「藍川」

 ふたりそろってふりむく。
 ものすごい険しい表情で伊尾さんがこちらを見ていた。

 どうしたんだろうと不思議に思っていると、伊尾さんは藍川さんにこっちに来いというように顎をしゃくる。

 それを見た藍川さんは、口元に手を当て小さく肩を揺らしていた。

「あいつ、あれで自分が過保護だっていう自覚がないんだから、困るよね」
「過保護って、なにがですか?」
「なんでもなーい」

 私の質問をはぐらかして、楽し気に笑う藍川さん。
 そして私に後ろ手に手を振って伊尾さんの方に歩いていく。
 
 結局彼がなにを言いたいのかわからず、私は首をかしげた。


          


 その週の日曜日、私は恵に呼び出された。

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