黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 用件はもちろん、同窓会をキャンセルした件についてだ。


 待ち合わせしたのはオープンテラスがあるおしゃれなカフェだった。
 私が行くとすでに恵はテラス席にいて、がっしりと両腕を組んで座っていた。

 ……あ、これはかなりご立腹だ。

 察した私はまず一番に恵に謝る。

「ごめんね、同窓会に行けなくて」

 顔の前で両手を合わせる私に、恵はうらめしそうな顔をする。

「せっかく私が同窓会のために、かわいい服を選んであげたのにぃ」
「それが、どうしても外せない仕事が入って。本当にごめんなさい!」
「もう、美緒は仕事ばっかりなんだから! そんなんじゃ、いつまでたっても恋人できないわよ」

 鼻にしわを寄せて怒る恵。
 
 彼女が私を思って言ってくれているのはわかるし、とてもありがたいけど……。

「なんかもう、私は先輩と一緒に仕事ができれば、恋人なんていなくてもいいかなって思っちゃった」

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