バーテンは甘すぎる
「ふぁ〜…、ねむ…」
腕時計を確認するともう夜の10時だ。
家に着く頃には10時半まわるな…。
昨日面白すぎるテレビの録画を見過ぎたせいでしっかり寝不足になってしまっていた。
勤務中は大丈夫だったのに、今はあくびが止まらない…。
最近運動不足が祟っていたため、ここ1週間約30分かけて家から歩いてきていた。
なんとなく健康になってるような気がしていつもは三日坊主なのに割と上機嫌で歩いていたけど、今日ばかりは少しでも早く家に帰って寝たかった。
あーだこーだ考えながらふと周りを見ると、夜の暗さとは裏腹に、たくさんのビルの窓から漏れる光が目に溜まる涙でぼやけて少し綺麗に見えた。
「あーーー…、早く帰りたい…」
ボソッと呟いて下を向きながら歩いていると、視界の上の方に革靴がこちらを向いて止まっているのが見えた。
「……?」
気になってゆっくりと頭をもたげると、スーツを着た知らない男の人が3人私の目の前で立って笑っていた。
「え。」
思わず漏れた声と同時に、男たち3人衆は私に近寄りながら話しかけてきた。
『ねぇねぇお姉さんかわいいね、ちょっと遊ぼうよ』
気持ち悪い笑顔を浮かべながら私に近寄ってくるキモ男たち。
「急いでるんで。」
さっさと家に帰りたかった私は、構うだけ無駄だと塞いできた動線を変更して歩き出した。
『ちょっとちょっとお姉さん!つれないなぁ。楽しいから行こうよ!』
「ちょっ、!」
キモ男Aが腕を掴んできたので私の体はその場で留まった。
「はなしてっ、!」
『お姉さんが無視するからじゃ〜ん、さ、行こ』
「キモいな、はなせよっ、!」
キモすぎて鳥肌が立ちそうなぐらいキモい男たちに腕を引かれそうになった。
『おい』