淡くて儚い私の嘘。
―水泳を辞めてから2年。
もう水泳に縋るような子供じみたことなど忘れてしまった。
ただ心に埋めることの出来ない穴があるのは確かで、でもその正体が何かは分からなかった。
あの頃の私は本当に水泳に夢中だった。
自分の目の前の道には水泳しかない、と本気で信じていた。
―これが叶わないものだと知らずに。
あの頃のことが蘇り頭が痛くなる。
忘れてしまえばいいのに、こんな思い出。
こんな苦くて甘い思い出。
―もう、思い出さなくていいのに。
だって。
だって。
―だって、もう好きじゃないから。
―水泳なんか
『ただひたすらに』
―嫌いだから
『水泳を好きでいたかった』