淡くて儚い私の嘘。





―水泳を辞めてから2年。


もう水泳に縋るような子供じみたことなど忘れてしまった。


ただ心に埋めることの出来ない穴があるのは確かで、でもその正体が何かは分からなかった。












あの頃の私は本当に水泳に夢中だった。


自分の目の前の道には水泳しかない、と本気で信じていた。














―これが叶わないものだと知らずに。














あの頃のことが蘇り頭が痛くなる。






忘れてしまえばいいのに、こんな思い出。


こんな苦くて甘い思い出。






―もう、思い出さなくていいのに。




だって。














だって。















―だって、もう好きじゃないから。



















―水泳なんか

『ただひたすらに』











―嫌いだから

『水泳を好きでいたかった』
< 3 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop