ビビディ バビディ ブー! 幸せになーれ!〜この愛があなたに届きますように~
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「おじぃちゃん、大丈夫だから今日はゆっくり休んで?うん、うん、後で病院行かなきゃ駄目だよ!一緒に行こうか?
え?うん、大丈夫?
わかった、気をつけて行ってきてね。
こっちは大丈夫だから。
庭の手入れは私にまかせて!
うん、大丈夫だってば。わかってる。今日は庭園でお見合いあるんでしょ?
ため息がでるくらい素敵にしておくから私にまかせて!」
大学で造園の勉強をしてから私は祖父のもとで庭師として働いている。
母は小3の時に病気で他界し、父は高2の時に事故で他界した。
駆け落ち結婚だった両親は、親族との繋がりを一切断っていて、一人っ子の私は父を亡くして一人ぼっちになってしまった。
途方にくれていた私のもとに母方の祖父、三井泰造が現れたのはそんな時だ。
「私は庭師をしている。
どうだ、わしの跡を継いでみないか」
この申し出を断ることなどできるわけがない。
だってこの人は他人ではなく、初対面ではあるが私の唯一の肉親なのだから。
この日から祖父のもとで学校に通いながら庭師として弟子入りした。
そんな私達の今の仕事場はお金持ちの人たちが集まる
"ベリーヒルズビレッジ"のテナント屋上庭園だ。
海外VIPを招いてのお茶会や、お見合い会場としても使われているこの日本庭園は、私もため息が出るほど見事な出来栄えだ。
もちろんこの見事な日本庭園を作ったのは、この世界では有名な凄腕庭師三井泰造、私の祖父だ。