ビビディ バビディ ブー! 幸せになーれ!〜この愛があなたに届きますように~
バビディ①~魔法の時間が終わるとき~
見つめ合うこと数秒。
お互いに声がでなかった。
「おいおい大知、黙って突っ立ってないで声くらいかけたらどうだ?」
相楽さんの呼び掛けで最初に沈黙を破ったのは迫田さんで。
「あぁ、なかなか似合うじゃないか。その着物いい色だ。
急に頼んだのに倉木もよく用意してくれたな。
あとでもう一度礼を言わなきゃな」
早口にそう言うと、ふいっと顔を背けた迫田さんは、それきり私と目を合わせず、これからのことを事務的に説明し始めた。
(着物しか誉めてくれないんだ…。相楽さんでさえ"可愛い"っていってくれたのになぁ)
ビジネス用であろう淡々とした口調と表情に、寂しさが込み上げる。
一瞬だけど、二人っきりのときは、迫田さんはもう少し柔らかくて甘かった。
わずかに見せたあの表情は、彼の特別な女性だけが見ることのできる素顔なんだろう。
あれ?なんで私こんなにがっかりしてるんだろう…。
チリチリ痛む胸元を押さえると
「おい、人の話ちゃんと聞いてるか?
なんだよ、帯が苦しいのか?」
急に近づかれ、顔を覗き込んだ迫田さんに心臓がぴょんっ!と跳ね上がった。
さっきから私の胸は苦しくて苦しくて仕方がない。
朝のラフな彼も物凄く素敵だったが、今はそれ以上に…
ん!?
なに考えてるの私!!
「きっ着物なんて久しぶりだからちょっと苦しいだけです。
すぐ慣れるから大丈夫です」
誤魔化すように顔を背けると追うように迫田さんが顔を近づけた。
「…朋葉」
優しい声色で呼ばれた名前に私の胸が甘く疼く。
顔に伸ばされた手が……
「っっ、いたぁっっ!」
私にデコピンをおみまいして、迫田さんがいたずらっこのように笑っていた。
「緊張しすぎた。朋葉、大丈夫だから少し肩の力を抜け。
どうせ俺の話なんて聞いてなかったんだろ」
苦笑いする迫田さんに本来の目的を思い出す。
そうだ、私はこれから迫田さんの恋人としてご家族に紹介されるのだ。
あくまでも彼の一時的な恋人で、これが終われば私達はまた他人にもどるのだ。
胸なんてときめくはずなんてない…。これは…気のせい、そう、迫田さんの言うように、これからのことにただ緊張しているだけ。
この胸の疼きは単なる緊張だ。
お互いに声がでなかった。
「おいおい大知、黙って突っ立ってないで声くらいかけたらどうだ?」
相楽さんの呼び掛けで最初に沈黙を破ったのは迫田さんで。
「あぁ、なかなか似合うじゃないか。その着物いい色だ。
急に頼んだのに倉木もよく用意してくれたな。
あとでもう一度礼を言わなきゃな」
早口にそう言うと、ふいっと顔を背けた迫田さんは、それきり私と目を合わせず、これからのことを事務的に説明し始めた。
(着物しか誉めてくれないんだ…。相楽さんでさえ"可愛い"っていってくれたのになぁ)
ビジネス用であろう淡々とした口調と表情に、寂しさが込み上げる。
一瞬だけど、二人っきりのときは、迫田さんはもう少し柔らかくて甘かった。
わずかに見せたあの表情は、彼の特別な女性だけが見ることのできる素顔なんだろう。
あれ?なんで私こんなにがっかりしてるんだろう…。
チリチリ痛む胸元を押さえると
「おい、人の話ちゃんと聞いてるか?
なんだよ、帯が苦しいのか?」
急に近づかれ、顔を覗き込んだ迫田さんに心臓がぴょんっ!と跳ね上がった。
さっきから私の胸は苦しくて苦しくて仕方がない。
朝のラフな彼も物凄く素敵だったが、今はそれ以上に…
ん!?
なに考えてるの私!!
「きっ着物なんて久しぶりだからちょっと苦しいだけです。
すぐ慣れるから大丈夫です」
誤魔化すように顔を背けると追うように迫田さんが顔を近づけた。
「…朋葉」
優しい声色で呼ばれた名前に私の胸が甘く疼く。
顔に伸ばされた手が……
「っっ、いたぁっっ!」
私にデコピンをおみまいして、迫田さんがいたずらっこのように笑っていた。
「緊張しすぎた。朋葉、大丈夫だから少し肩の力を抜け。
どうせ俺の話なんて聞いてなかったんだろ」
苦笑いする迫田さんに本来の目的を思い出す。
そうだ、私はこれから迫田さんの恋人としてご家族に紹介されるのだ。
あくまでも彼の一時的な恋人で、これが終われば私達はまた他人にもどるのだ。
胸なんてときめくはずなんてない…。これは…気のせい、そう、迫田さんの言うように、これからのことにただ緊張しているだけ。
この胸の疼きは単なる緊張だ。