ビビディ バビディ ブー! 幸せになーれ!〜この愛があなたに届きますように~
なんで!?
なんでそんなことになってるの!!
恋人のふりが婚約なんてっ!
しかもっ!!
なんで社内メールで流されてるの!
迫田さんに今すぐ文句を言って、なんでこんなことになっているのか追求したいのに、どうやって彼に連絡を取ればいいのかわからない。
唯一わかっているのは、この目の前にそびえたつ高層ビルの48階に彼がいるってこと。
高層ビルをじっと見上げて意を決して踏み込んだ。
SAKOTAリゾートがあるのは46階から48階。
突き刺さる視線を振り切って46階で受付の女性に声をかけた。
「すみません、お約束はしていませんが副社長にお会いしたいのですが」
「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」
にこやかに対応してくれた受付けの女性に安堵して
「すみません、小谷です。小谷と申します」
そう答えた瞬間、女性の表情が一変した。
「あなたが…。
財閥令嬢とお見合いだっていうから身を引いたのになんであなたみたいな女が婚約者なのよ。
突然現れて割り込んできて、納得できない!」
周りに聞こえないように小声で発した彼女は、ぎりっと歯をかみしめ、憎しみを込めた瞳を私に向けた。
とても…綺麗な人だ。
この人が本当は迫田さんの恋人なのだろうか…。
胸の奥がざわつきだす。。
私が知らない迫田さんの領域に足を踏み入れたことを後悔する。
恋人なら誤解を解くべきだろうか…。
ううん、それは私ではなく迫田さんが彼女に説明するはずだ。
私は…。
あの日この女性の代わりをさせられたんだ。
頭がずきずき痛み出してきて、睨み付けている彼女の視線から今すぐに逃げ出したかった。