ビビディ バビディ ブー! 幸せになーれ!〜この愛があなたに届きますように~
***

「はぁ」

ごろりと寝ころんだキングサイズのベッドは、一人で寝るには広すぎだ。
だが、いつか朋葉と一緒に…。

頬を染めてベッドに横たわるそんな映像が頭に浮かび、かぁーっと体が熱くなる。

頭の中の淫らな映像をかき消すように、頭をがしがしかきむしり、俺は再び深いため息をついた。

「はぁぁぁ」

今日から同じ家に朋葉が住みはじめる。

いや、下にはもうずっと恋い焦がれ続けた彼女がいるのだ。

意識しないほうがおかしいだろ。

慌ただしく式と披露宴を終えて、ようやく二人きりになった新居で本当はゆっくりリビングで一緒にくつろぐつもりだった。

このまま結婚式の延長で、甘く囁き俺を少しでも意識させるはずだったが…。

「ふぅ…」


手にした携帯の画面を開くと、相楽や兄弟、友人たちが送ってきたたくさんのドレス姿の朋葉の映像が写し出される。

「本当に結婚したんだな、俺たち…。
むちゃくちゃ可愛いじゃないかこの朋葉。可愛すぎたろ」

携帯を握りしめにやけながら見ている俺の姿は、誰にも見せられないほどだらしなく、こんな顔はもちろん今はまだ朋葉にだけは知られるわけにはいかないのだ。


そう…。



意識させるどころか、ドレス姿の朋葉に完全にノックアウトしてしまったのは俺の方なのだ。


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