冷酷御曹司と仮初の花嫁
「初めまして。佐久間商事で社長の秘書をしております小柳円華(こやなぎまどか)と申します。今日は佐久間より佐藤様に書類を預かってきましたのでお持ちしました。内容を確かめの上にご記入の上、連絡を欲しいとのことでした」
小柳さんはスッと封のされた紙袋を私に渡した。
「ありがとうございます」
「いえ、それでは失礼します」
立ち姿が美しいというのはこういう人のことをいうのかもしれない。麗奈さんの美しさが大輪の薔薇なら、彼女は芳香を放つ百合のようだった。今まで片づけをしていた私は普段着に髪を緩やかに結んでいた。
あまりの違いに世界の違いを感じさせ、渡された書類の入った袋の重さに、自分が決めたことの重さを感じた気がした。
「あの」
「なんでしょう」
「佐久間さんは何か言ってましたか?」
小柳さんに聞いても仕方ないと分かっているのに、聞かずにはいれなかった。昨日の今日で、これだけの書類が用意されてあることに私は疑問が溢れてくる。
「いえ。社長は用事以外は何も申されませんでした」
「そうですか」
「あの、わたくしからもお伺いしてもいいでしょうか?社長は私事で私を赴かせることは初めてです。あなたが取引先とも思えません。出過ぎたことを申していると思いますが、どうしても気になってしまいます」
私と佐久間さんの関係……。それは、契約を交わした相手。でも、なんといっていいのかわからないあやふやな関係だった。
「佐久間さんに聞いて貰えますか?私からは何も言えません」
「そうですよね。大変失礼いたしました。では失礼します」
小柳さんはスッと封のされた紙袋を私に渡した。
「ありがとうございます」
「いえ、それでは失礼します」
立ち姿が美しいというのはこういう人のことをいうのかもしれない。麗奈さんの美しさが大輪の薔薇なら、彼女は芳香を放つ百合のようだった。今まで片づけをしていた私は普段着に髪を緩やかに結んでいた。
あまりの違いに世界の違いを感じさせ、渡された書類の入った袋の重さに、自分が決めたことの重さを感じた気がした。
「あの」
「なんでしょう」
「佐久間さんは何か言ってましたか?」
小柳さんに聞いても仕方ないと分かっているのに、聞かずにはいれなかった。昨日の今日で、これだけの書類が用意されてあることに私は疑問が溢れてくる。
「いえ。社長は用事以外は何も申されませんでした」
「そうですか」
「あの、わたくしからもお伺いしてもいいでしょうか?社長は私事で私を赴かせることは初めてです。あなたが取引先とも思えません。出過ぎたことを申していると思いますが、どうしても気になってしまいます」
私と佐久間さんの関係……。それは、契約を交わした相手。でも、なんといっていいのかわからないあやふやな関係だった。
「佐久間さんに聞いて貰えますか?私からは何も言えません」
「そうですよね。大変失礼いたしました。では失礼します」