1線超えたお兄ちゃんとの恋物語
奏くんが歌い終わってから言った。
「奏くんの声、きれいだったよ~。」
「そうだった?」
と言うだけ。
声に驚きを感じない。
「うん。……ここで歌うこと言ってくれればよかったのに。」
「だって聞かれるの、恥ずかしかったから。」
「そんなん兄妹だから昔から聞いてるのに?奏くんの彼女なのに?」
勢いに任せて心に溜めてたものを言っちゃった。
「……ごめん。」
「あっ、えっと、私もごめん。いろいろと言い過ぎた。」
「別に咲良は謝らなくてもいいでしょ。悪くないんだし。」
「で、でもっ……」
「いいから謝らないで。分かった?」
こくり、と頷く。
「ん、いい子。今日どうする?帰る?」
「うん。夜、奏くんと一緒に寝たい。」
「今日、積極的?」
図星を突かれ何も言えなくなる。
「……」
「図星なんだ。……じゃあ帰ろ?」
「うん!」
そして甘い夜を過ごした。