365日のアルバム
 秋の動物園では、ライオンの檻の前で。猛獣好きっていう君が、少し意外だった。

 満月の日には、「月が綺麗ですね」って。
 狙いすぎたシチュエーションに、二人して吹き出してしまったよね。

 赤くなった紅葉の下でも。
 紅葉より君のほうが綺麗だって言ったのは、ちょっとカッコつけ過ぎだ。なんかキメたくなるんだよ、君を見てると。反省してる。

 始めは真っ白のページばかりだったアルバムが、君との思い出で埋まっていく。

 百貨店に設けられた、大きなクリスマスツリーの下で。
 初めて君を抱きしめたのは、この帰り道だった。

 初詣でごった返す神社の境内では、人混みが邪魔で位置取りに苦労する。
 賽銭を二人で投げて、おみくじも引いて。ずっと一緒にいられますようにと、願掛けもした。

 雪の積もった二月は、海岸まで出るのを諦めようかと悩む。
 結局、雪道をふうふうと歩いて、夕陽に照らされる冬の海へ辿り着いた。
 雰囲気が大事、ってのが君の言い分だっけ。バレンタインだもの、多少のワガママには目をつむるさ。

 満開の桜を撮れたのは、本当に良かった。君ほど桜が似合う人はいない。
 ずっと春が続けばいいのにと願いたくなった。
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