誰にも教えてアゲナイ!
―――翌日は寝不足。

寝る前に首筋とほっぺにされたキスを思い出して、なかなか寝付けなかった。

年下のくせに、年上を弄ぶなんてっ!

朝からバイトだから、寝不足の瞼をこすりながら無理矢理起きた。

いつもよりも半分な睡眠時間でバイト中も立ち仕事だというのに、眠りそうになり…フラフラしていた。



いつも寝過ぎているのかな?

だいたい8時間の夢無し睡眠。

バイトで疲れて遊びに行く気力もなし、まぁ、時間も遅いってのもあるけれど、シャワーを浴びたら寝ちゃうのが日課。

考えてみたら子供の頃から、良く寝る子だったわ……。



『お疲れ様でした!』と最後の体力を振り絞り、仕事終わりには元気な声で言って、帰り道もフラフラでアクビしながらアパートの階段を登った。


あっ、……居た。

寝てはいないけれど座っていた。

寒いのに困った奴…って思ったが、思わず笑顔が零れた。



「あ、おかえり、百合子」

「ただいま、寒いのに…待ってたの?」

「大丈夫だよ、今来たとこだから…それより…」

「ん?」

「今日は、胸元開いてる服じゃないんだ?…残念」

はぁ!?

本気で寂しそうな顔でそんな事を言うなっ!



このエロガキを一瞬でも、”神様からの贈り物”だなんて思った自分が馬鹿みたいっ!

顔だけの(林檎は剥けるけど…)コイツを返品可能ですか?

もっと…もっと従順で可愛くしてくれるなら、受け取りますが…!
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