誰にも教えてアゲナイ!
私達の間に目では見えない火花が散っているのも知らず、りっちゃんは隣で笑っている。

何が良くて付き合ってるのかな?

私には謎だよ。

確かに見かけは切れ長の涼しい瞳で、背丈もあるし、カッコイイかもしれないけど……いちいち、突っ掛かってくる性格が気に入らない。

りっちゃんには、そんな事はないのかな?

そんな事はあるはずもないか、あったとしたら、きっと、とっくに別れを選んでいるはずだ。

私にだけ、なのかな?



―――まぁ、関係ないんだけど。



「でさ、百合ぃ、高校生の彼が毎日通って来るんだって?」

席についてから相当な時間がたってしまったが(切れ長眼鏡のせい)、呆れ顔の店員に注文を済ませてドリンクが届いた。

りっちゃんが、アイスココアのストローをクルクルと回しながら聞いてきた。



「通い猫みたいに毎日来るの〜っ。可愛いんだ」

「そうなんだ。百合にも春が来たねぇ。今度、会ってみたいな〜」

「でも付き合ってる訳じゃないし…」



りっちゃんに彼との出会いなどを話した。

切れ長眼鏡を差し置いて、二人で盛り上がっていると、突然として口を挟んできた。



「だいたい、付き合ってもないのに女一人の部屋に上げるのか?

しかも、何度も会っているのに素性も知らない、近くに住んでいるハズなのに確かめもしない。

…やっぱり、阿呆、だな?」



な、何だと!?

ネチネチ言った上に、『阿呆』って言わなかったか?

許せないったら、許せない!
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