誰にも教えてアゲナイ!
「阿呆だとぉ〜っ!てめぇ、何様なんだよっ!」



思わず立ち上がり、カフェなのに怒鳴ってしまった。

周りのお客さんや店員からは冷ややかな目。



「別に何様でもない。さっきから苛立ってるようだが、カルシウムが足りてないのか?

それとも欲求不満か?」



またもや淡々と話す眼鏡。

カルシウムならまだしも、欲求不満だなんてっ!



コイツッ!

りっちゃん、もう私、耐えられないかも…。

ごめんね、りっちゃん。

コイツをこの世から葬り去りたい。

それが無理なら、もうどうにでもなれっ!



バシャッ!!



―――思いっきり、水をかけました。

えぇ、頭の上からビッショリと濡れています。

テレビドラマでよくある修羅場の水かけシーンを再現しちゃいました。

切れ長眼鏡は溜め息を大きくついて、りっちゃんが慌ててハンカチで拭いている。

店員が慌てて、テーブルから滴る水を拭きに来た。



「私、払って帰るから。またね、りっちゃん」



伝票を持ち、レジに行こうとした瞬間…

私までズルッと滑って転び、スカートがグジャグジャに濡れた。

格好悪い。

馬鹿みたい。

最低最悪。

苛立ちも頂点に達して泣けて来たよ。



「大丈夫?お姉さん?」



立ち上がろうとすると、知らない女の子が話かけてきた。
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