誰にも教えてアゲナイ!
―――そんなこんなで、彼のアパートの玄関前に来ました。

彼のお父さんはまだ来ません。

どこに行っちゃったのかな?

大丈夫かな?

「…ねぇ、お父さんは?」

「大丈夫だって、いつもの事だから。マリア、ピンポンしてくれる?」

「うんっ、ピンポーン!!」

彼はいつもの事だって言って笑ってるけれど。

マリアちゃんが呼び鈴を連打している。

私の所に来た時もマリアちゃんが押したのね。

「いらっしゃい、百合子さん。どうぞ上がって」

ガチャリとドアが開くと、マリアちゃんは彼の腕を離れて「ただいまっ」って、お姉ちゃん?の元に駆け寄る。

お姉ちゃんも居るのかな?

「はじめまして、佐倉 百合子です。お招き頂いて嬉しいです」

ニッコリと満面の笑みを浮かべて、挨拶をした。

「俺の母親だよ」

「えぇっ!?お姉さんかと思った…お若いですねっ」

お姉ちゃんかと思っていた出迎えてくれた人は、実は彼のお母さんだった。

若いなぁ。

まだ20代に見える。

いくつなのか、後で彼に聞きたいな。

もしかして、二人目の奥さんとか!?

マリアちゃんと諒は10歳以上も離れてるしなぁ

彼のお父さんは、推定40歳なんだけど…

……でもなぁ、彼の可愛い感じは彼のお母さんに似てるし…。

グルグルと想像?、妄想?が駆け巡る。
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